と船頭に言われ慌てて船を降りる、降りたのは我々だけだ。
ムアンコーンは街と言うより部落、四、五軒の民家と小さなお土産屋、
粗末な食堂、その食堂に腰を下ろす。
当然、冷えたビールがある筈は無い。
降りた所はメコンの川中の一番大きな島、コーン島の西端、
今日の目的地は島の東端のムアンコーン、ここから8km程有る。
トゥクトゥクくらいは有るだろうとたかを括っていたが、何も無い。
50歩も歩くと村外れ、東に真っ直ぐ土の道が伸び、遥かに水田が続く。
村外れの万屋には僅かの日用品、煙草、薬草が並び、
ベンチで人の良さそうな親父が煙草を吹かしている。
煙草を買って親父の隣に坐る。
「何処から来た?」
「日本」
「好い天気だね」
「そうだね」
何語で話したか忘れたが、何とか話が通じるものだ。
「トゥクトゥクは来るの?」
「もうすぐ来るよ」
そんな話をしている内に、トゥクトゥクの音が近づて来た。
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